
「無人島に1つだけ持っていくとしたら、何を選ぶ?」
飲み会でも、旅先の車中でも、必ず一度は盛り上がるこの定番トーク。実際に日本全国の無人島に足を運び続けてきたプロは、この問いにどう答えるのでしょうか。
今回は無人島プロジェクト代表の梶海斗と、SNS総フォロワー250万人を誇るクリエイター・高橋哲也による対談をお届けします。ゆるい雑談のはずが、気づけば「そもそも無人島とは何か」という定義論にまで踏み込んでいく展開に。
無人島に憧れる方であれば、きっと自分なりの答えを考えたくなるはずです。
対談の内容は、ぜひ動画でご覧ください!
対談者プロフィール
梶 海斗(かじ かいと)

無人島プロジェクト代表/株式会社ジョブライブ 代表取締役
1988年京都生まれ。同志社大学卒業後、2012年に株式会社リクルートジョブズへ入社。2016年に株式会社ジョブライブを設立し、19歳から続けてきた無人島での活動を本格化させました。
日本の無人島活用事業を牽引する第一人者として、個人向けサバイバル体験にとどまらず、大手企業の研修プログラムや自治体と連携した地域創生プロジェクトも多数プロデュース。著書『無人島冒険図鑑』(秀和システム)は実践的な知見をまとめた一冊として高く評価され、経済ドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」でも特集されました。現在は情報経営イノベーション専門職大学(iU)の客員講師として、若手育成にも力を注いでいます。
高橋 哲也(たかはし てつや)

ショート動画クリエイター/株式会社ARON 代表
東京都内で飲食店を5店舗経営したのち売却。現在はSNS総フォロワー数250万人を誇るインフルエンサーとして活動しています。
得意とする「非言語コンテンツ」を武器に、企業や個人のアカウント運用をサポート。SNS学校HERO’ZZやKADOKAWA系列の専門学校で講師を務め、これまでに延べ100名以上のインフルエンサーを輩出してきました。プライベートでは大型犬2匹と猫3匹を育てる、頼れる大黒柱でもあります。
まずは「無人島の定義」を決めないと始まらない

高橋: さて、今日は鉄板のテーマ、「無人島に1つだけ持って行くなら何?」について話していきたいなと。
梶: この話をちゃんと詰めようと思ったら、まずは「無人島の定義」を決めなきゃダメですよ。
高橋: 定義ね。どういう無人島かっていう?
梶: そう。必要なものって無人島がどういう環境かで変わるから。水が自給できる島なのか、それとも絶海の孤島なのか。ここが決まらないと、答えの出しようがない。
無人島と一口にいっても、その実態は驚くほど多様です。日本国内だけでも、船で5分ほどの距離にある気軽な島から、チャーター船を乗り継いでようやく上陸できる本格的な離島まで存在します。
真水が湧く島もあれば、飲み水を一滴も確保できない島もある。だからこそ「無人島に何を持っていくか」という問いは、前提条件を揃えなければ議論が噛み合わないわけです。
高橋: じゃあ、ポピュラーな無人島を定義してよ。スタンダード無人島みたいなやつ(笑)。
梶: 一般的によくイメージされるのは、映画『キャスト・アウェイ』みたいなシチュエーションかな?
高橋: ウィルソン(バレーボール)が出てくるやつね。
梶: あの島は絶海の孤島だけど、森林資源が豊富で洞窟もあった。あと、荷物が漂着するっていう特殊なボーナスステージでもあったよね。
高橋: 確かに。無人島界隈ではかなり恵まれた環境だ。
梶: うん、資源は豊富。でも脱出の難易度は激高。あのレベルの過酷な環境で数年過ごすのか、それとも日本の無人島で3日間サバイバルするだけなのか。そこをはっきりさせないと話が進まない。
高橋: なるほどね。じゃあ今回は『キャスト・アウェイ』設定で行こう。飛行機が落ちて、どこだか分からない島に漂着した。なぜか1つだけ荷物を開けていいと言われたら、何が入っていてほしいか。
【条件定義】
- 場所:絶海の孤島
- 目的:生き残るため
- ここがどこだかまったくわからない
- 脱出は困難だが森林資源は豊富にある
- 荷物が漂着するけど、なぜか1つしか開けられない
- その荷物が何であってほしいか
2人の答えは奇しくも一致「結局は刃物に行き着く」

高橋: 生き残るために必要な「キーアイテム」。これはもう、答えが決まってるんだよね。
梶: お、自信満々だね。じゃあ「せーの」で発表してみる?
梶・高橋: せーの!
高橋: 「ナイフ!」
梶: 「斧(おの)!」
高橋: なんて?……あぁ、斧か! ごめん、負けたかも(笑)。
梶: 判断はやいな(笑)。でも、ナイフもどういうのを想定してるかによるよね。刃圧とか刃渡りとか。
高橋: 俺はマチェーテみたいなやつをイメージしてる。木をなぎ倒して火も起こせるようなやつ。
なぜ「刃物」が最優先なのか

食料でもなく、水でもなく、火でもなく「刃物」。この結論には、無人島経験者ならではの明確な理由があります。
高橋: 結局、石を研いで刃物を作るにしても、強度に限界があるでしょ。工作をするにも、薪を作るにも、ちゃんとした「刃物」がないと何も始まらない。
梶: 間違いない。まあ、でも魚を捌いたり獲物を突いたり、そんなのは”加工した何か”でできる。でも、それを使うためには「加工するもの」が必要だから……。
高橋: “加工した何か”を作るためのものってこと?
梶: そうそう。木を尖らせれば槍にはなるけど、その木を切り出すために刃圧がある大きな刃物がほしいんだよね。
ここでのポイントは、「単体で役立つもの」ではなく「他のものを生み出せるもの」を選ぶという発想です。
食料を持ち込んでも、食べ尽くせばそこで終わり。しかし刃物が1本あれば、薪を割って火を起こし、木を削って槍を作り、竹を切って食器や容器を作れます。さらには寝床となるシェルターの建材を切り出すことも可能でしょう。
つまり刃物は「道具を作るための道具」であり、サバイバルにおける生産性の起点になるというわけです。この視点は、実際に無人島で何日も過ごした経験がなければ、なかなか出てこない発想かもしれません。
【番外編】実用性だけじゃない「食の楽しみ」という視点

高橋: ちなみに「塩」も考えたんだけど、塩は海水から作れるもんね。
梶: でも、確かに調味料は大事。
高橋: 楽しみたいなと思って。だから味噌とかもいいよね。
梶: わかる。あと、1つじゃなくて「(無人島に持っていくもの)3つなら」でよく挙げるのは「斧・広辞苑・ニンニク」なんだよね。
高橋: なるほど。ニンニクはたしかにいいな。
梶: ニンニク強いよ。栽培できれば無限だし。
高橋: 何に入れても旨いもんね。
梶: 塩とニンニクがあればいいのよ。ハーブとかもそうだけど、美味しい調味料は人生の楽しみの1つだよね。
この「美味しさは精神的な支えになる」という視点は、無人島体験の本質を突いています。
無人島では、食料の確保そのものが一大プロジェクトになります。魚を釣るためにまずエサとなる貝や虫を探し、釣り上げたら自分の手でさばき、火を起こして調理する。すべての工程を自力でこなさなければなりません。
その苦労の末にたどり着いた一口が「味気ないもの」だったとしたら、気持ちは一気に沈んでしまうでしょう。逆に、ほんの少しの塩やニンニク、味噌があるだけで、同じ食材が驚くほどのご馳走に変わります。生き延びるための「機能」だけでなく、心を保つための「楽しみ」にも目を向けている点が、経験者ならではの視点だといえます。
次なるステップは「無人島で最初に何を作るか」

高橋: さて、今回は結局「2人とも刃物が最優先」という結論になったけど。
梶: 間違いないね。やっぱり文明の第一歩は刃物から。
高橋: 次回は「最初に何を作るか」を話したいな。建築していかないとじゃないですか、我々の暮らしやすい「国」を。
梶: なんでさっきからそんなに視座が高いの(笑)。
高橋: やっぱ建国していきたいから、俺は(笑)。では次回はそんな話をしていこうと思います。
梶・高橋: ありがとうございました!
まとめ|「1つだけ」の問いが教えてくれること
今回の対談を振り返ると、無人島サバイバルにおける重要な考え方が見えてきます。
①前提条件を確認することから始まる
絶海の孤島なのか、日本近海の島で3日間なのか。環境が変われば必要なものも変わります。無人島に行く前に、まず「どんな島か」を知ることが第一歩です。
②消費するものより、生み出せるものを選ぶ
食料は食べれば終わりますが、刃物があれば道具も寝床も食事も作り出せます。「それ単体で何ができるか」ではなく、「それを使って何を生み出せるか」という視点が鍵になります。
③心の支えになるものも軽視しない
調味料ひとつで食事の満足度は大きく変わり、それが精神的な余裕につながります。機能性だけで判断しないのが、経験者の発想です。
「無人島に1つだけ持っていくなら?」という問いは、一見すると他愛のない雑談のテーマかもしれません。けれど真剣に考え始めると、「自分にとって本当に必要なものは何か」を問い直すきっかけにもなります。
みなさんなら、たった1つの荷物に何を選ぶでしょうか。ぜひ自分なりの答えを考えてみてください。そしていつか実際に無人島へ足を運び、その答え合わせをしてみてはいかがでしょう。
対談の内容は、ぜひ動画でご覧ください!
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