電気、ガス、水道はもちろん、家もトイレやシャワーもない。食べものは自分で海などから手に入れるしかない。すべてゼロから作りあげていく。そんな自給自足の冒険にチャレンジしてみませんか?
このような無人島体験を国内で、しかもほぼ手ぶらで気軽に体験できるという企画やサポートを提供しているプロジェクトがいくつかあります。
慣れないうちはそれらを利用してみるのも1つの方法ですね。
無人島でどんな自給自足が学べるの?
無人島にあるのは豊かな自然だけ。楽しいだけでない過酷な現実がそこにはあります。
しかし自給自足を学ぶということは、「生きる」ことを学ぶことと言えるでしょう。
ここでは、そんな無人島の体験で、どんなことが学べるかをみていきたいと思います。
1.飲み水の確保
雨水のろ過装置を作るなど、水分調達には様々な方法があります。ここでは、岩清水から採取する方法を説明していきましょう。
この手段を利用するには、島内に緑濃い山があることがポイントです。緑が濃い、ということは土地の保水力が高いことを意味しています。そして、山でも谷間になっているところを目指しましょう。
谷間では雨水がろ過され、湧き水となっていることが多いのです。岩石が湿っていたら、それは湧き水。
また、上空に鳥が飛んでいる下には近くに水源がある可能性大!
2.火の扱い
無人島では、食べ物の調理や暖をとるのに必要な火おこしも重要なスキルです。
まず、強度のある石を探しましょう。地面に叩きつけるなどして、割れにくいかどうかを確かめてみます。火おこしに最適な石は強度が重要です。
見つけた石をワラで包み、金具などの金属片に力いっぱい打ち続けます。すると次第に火花が起こりはじめ、ワラに引火します。
煙が立ち始めたら、息をゆっくりと吹き込み火を起こします。その後に乾いた木などにそれを移し、火を大きくしていきます。
3.食料調達
海は食材の宝庫。無人島で最も手に入りやすい食べ物は魚や貝類です。例えば、海岸の一部が陸側にえぐるように入り込んでできた入り江は、潮の流れが緩やかなため小魚が集まりやすい場所となっています。さらに小魚を求めて大きい魚も集まってくるため、食料ゲットの確立も高まります。
また、海の中にある岩場(または瀬)は 魚のすみ家である穴が多いので、魚が獲れる可能性が高い場所です。
さらに視界の広い浅瀬で魚を狙う手もあり、特に夜は魚の動きが鈍くなるためゲット率がグンとアップします。
一方、貝類の捕獲ですが、貝は海藻をエサにしていることから、 海藻のあるエリアを探せば 見つかる可能性が高いでしょう。
また、潮が引いた後の岩場にも注目。運が良ければ、貝や小魚が取り残されていることもあります。
4.住居の確保
無人島での理想的な居住場所は、海が見渡せる山の中腹など高い所に設置すること。見晴らしが良く、周囲の様子がよくわかるからです。
また、住居を作る際の素材には、軽くて丈夫な竹がおすすめです。
岩山のほら穴などを利用する方法もあります。雨風も防ぐことができますね。落石などの危険に注意して場所を確保しましょう。
食料調達を一番に考えた場合は海辺の岩場。潮の干満や波の高さを考慮し、 満潮時や高波でも安全な場所を選ぶことがポイントです。
5.ナイフの扱い方
ナイフを見るとなんだか「怖い」と感じませんか?しかし、無人島の自給自足では必要不可欠なツールとなるため、ナイフを安全に使う方法を身に着ける必要があります。自給自足を目的とした場合、ナイフの用途は大きく2種類に分かれます。
まず、木を切ったり、砂を掘ったりするなど、大掛かりな作業を行うとき。この場合には重くて頑丈なナイフが必要です。
ところが木を削ったり、紐を切ったり、調理するためには、鋭利で取り扱いやすいものが必要となります。
用途によって全く異なる性能のナイフが求められるのです。用途に適したナイフの扱い方も、無人島で自給自足を体験したら必然的に学ぶことになります。
そのほかにも、自然にあるものを利用した「方角の確認方法」や、無人島における健康管理やケガ予防など「安全対策」を学ぶ機会もあります。
また、無人島の環境を守り後世へと引き継いでいくため「環境維持」についても習得できるでしょう。
無人島で自給自足を体験する3つのメリット
メリット①新しい自分を見つけることができる
無人島という自然の中で生きていくためは、魚を獲ったりさばいたり、火おこしや調理などを必然的に行わなければなりません。すると、自分が不得意だったと思っていたことが実は得意だったということに気がつく場面に遭遇することがあるでしょう。
仲間とともに体験する自給自足では、1人ひとりが役割意識を持ち行動していかなくてはなりません。
そうすることで自分の得意不得意も発見でき、今まで自分でも知らなかった自分に出会えるかもしれません。
メリット②他者を思いやる機会が得られる
何もない無人島での自給自足を経験すると、私たちが非常に恵まれていることを身をもって感じることができるでしょう。文明や仲間に感謝する気持ちが生まれ、新たな自分を発見したり、仲間の意外な一面を見出すこともあります。これは素晴らしい宝物となります。
メリット③創意工夫することを学ぶことができる
一切の文明の利器の使用ができない無人島の自給自足では、限られた資源しかない困難な環境の中で生活を行うため、どんなことにおいても必然的に創意工夫することが求められます。
無人島で生き抜くために考える力を養うことができるのです。これは日常生活では簡単には得られない大きな学びですね。
無人島で自給自足を体験するのにかかる費用
無人島では様々な非日常の体験から、普段の生活では決して学ぶことのない数々の学びが待っています。
そんな無人島での自給自足を体験できるサービスが続々と登場しています。その中でも人気のあるプランの相場を見てみていきましょう。
無人島日帰りプラン
無人島ってどんな感じだろう?宿泊して滞在する前に一度様子を見てみたい、という人に最適なプランです。
島探検やマリンスアクティビティ体験、デイキャンプなどプラン内容によっても様々ですが、数千円〜約3万円で体験できることが多いです。
手ぶらで行きたい!という場合には、BBQ機材レンタルや材料費、アクティビティグッズなどのレンタル費用が追加でかかります。
宿泊プラン
無人島で自給自足体験をしたい多くの人が選択するのは2泊3日プラン。相場は1人約3〜4万円というところ。
この料金にはキャンプ道具も含まれます。その他にも、シュノーケルセットやモリ、水、BBQ、ガイド、保険料まで含むという太っ腹なプランもあります。
企業研修プラン
チキンラーメンでおなじみの日清食品など、最近は無人島での企業研修に注目が集まっています。
例えば、無人島での1泊2日企業研修プランの相場は1名あたり3万円程度。企画によって料金は変動しそうです。
この料金には、送迎からテント、寝袋、テントマットに加え、3食分の食材とBBQ道具セットが含まれています。
参加者約20名程度を想定していますが、プランや無人島によっては200名まで対応できるものもあります。
また、子どもでも参加できるような一般的な研修プランを行う際は、物作りやトレッキング、カヌー、ツーリング、キャンプファイヤー指導、サバイバル術講座、ロープワークなどをカスタマイズしてくれる企画会社もあります。
貸切りプラン
究極の無人島体験プランは貸切でしょう。社員教育やレクリエーションのほか、イベントなど様々な用途に利用できます。
相場は約60~100万円。食材やテント、その他のアクティビティなどは別途料金がかかります。
例えば、「無人島プロジェクト」が管理・運営をする和歌山県・地ノ島という無人島は、なんと1日20万円というリーズナブルな価格で貸切りができます(平日なら5万円!)。
また、全国の無人島にネットワークを持ち、企業研修や合宿、イベントなど各要望に応じたオーダーメイドのプランを作ってくれます。
さらには、「無人島プロジェクト」が毎年夏に行う2泊3日の無人島キャンプは初心者でも参加でき、家族のような仲間ができると評判です。無人島の自給自足生活に興味を持ったのなら、まずはこれに参加してみるのもいいかもしれません。
まとめ
無人島で自給自足という生きるための作業を繰り返す中で、自然や仲間のありがたさ、命の尊さを実感していくことができそうですね。
また、今のご時世、震災やテロなど何が起きるか分かりません。電気や食料、水が簡単に手に入らない状況でも生き抜けるような知識を実体験する機会にもなるでしょう。