「無人島に行ってみたい」と思っても、多くの人がまず思い浮かべるのは沖縄や離島への長い船旅ではないでしょうか。しかし実は、東京や大阪から日帰りで行ける無人島も数多く存在します。
歩いて渡れる手軽な島から、かつて要塞として使われていた歴史深い島まで、その個性はさまざま。今回は、東京・大阪といった都心からアクセスしやすい無人島を5つ厳選してご紹介します。
誰もいない大自然を独り占めできる非日常体験を、ぜひ気軽な日帰り旅から始めてみてください。
1.沖ノ島【東京から日帰りで行ける無人島】

東京から車で約2時間、千葉県館山市に浮かぶ「沖ノ島(おきのしま)」。かつては海に囲まれた文字通りの島でしたが、関東大震災の際に地盤が隆起し、現在は本土と陸続きになっています。
島の周囲は約1km弱、本土からは約200mの砂浜でつながっており、歩いて上陸できる珍しい無人島です。南房総国定公園(沖ノ島公園)に指定されているため、豊かな自然環境が守られています。
沖ノ島で楽しめるアクティビティ
本土から島までをつなぐ砂浜は遠浅で波も穏やかなため、夏場は「沖ノ島海水浴場」として賑わいます。水質調査で最高ランクのAAを獲得したこともあり、環境省の「快水浴場百選」にも選定されているほど、透明度の高さが自慢です。
周辺海域は「サンゴの北限域」としても知られており、浅瀬にはサンゴが生息。シュノーケリングを楽しむこともできます。島の北側には「北の入り江」と呼ばれる小さな入り江があり、干潮時には天然のタイドプールが現れ、カニやヤドカリなどの磯遊びに最適です。
観光としては、地元のベテランガイドが案内する探検ツアーも人気を集めています。島内には約1万年前の縄文海中遺跡も確認されており、自然だけでなく歴史的な見どころも豊富。もちろん、水平線へ沈む夕日の美しさや、都心ではまず見ることのできない満天の星空も、沖ノ島ならではの魅力です。
沖ノ島までのアクセス
東京から車・電車ともに約2時間の道のりです。
車の場合は富浦ICから約11km、電車の場合はJR館山駅からバスで約15分の「館山航空隊」バス停で下車し、徒歩約25分で到着します。周辺には無料駐車場(約450台)も用意されています。
2.猿島【東京から日帰りで行ける無人島】

東京湾に唯一浮かぶ無人島が「猿島」です。周囲は約1.6km。
かつて軍事要塞として使われていたこの島は、その独特な風景から「天空の城ラピュタ」の世界のようだと話題になり、毎年約20万人もの観光客を集めています。
猿島で楽しめるアクティビティ
島内ではBBQが楽しめます。食材を持ち込むスタイルはもちろん、機材のレンタルや、事前予約すれば手ぶらでの利用も可能です。
見逃せないのが、要塞時代の歴史的遺産散策。兵舎跡や砲台跡、長く続くレンガ造りのトンネルなど、ラピュタさながらの空間が広がっています。現在は国史跡にも指定され、保存状態のよい姿を今に伝えています。
より深く歴史を知りたい方には、約30分で歴史的構造物を解説してもらえる探検ツアーがおすすめ。夏休みの自由研究にもぴったりです。桟橋付近には出土品を展示する多目的ホールや「猿島ウェルカムセンター」も整備されており、初めて訪れる方でも安心して島の歴史を学べます。
釣りや磯遊びも人気のアクティビティ。島周辺は砂地と海藻が入り混じった環境で、横須賀市内でも屈指の釣りスポットとして知られています。北側にある岩場では、潮が引いていれば磯遊びも楽しめるでしょう。なお、海水浴場は例年7月中旬〜8月末頃に開設されますが、年によって休止する場合もあるため、訪問前に公式サイトで最新の開設状況を確認することをおすすめします。
猿島までのアクセス
最寄り駅の京急横須賀中央駅から徒歩約15分の三笠桟橋から、船に乗ればわずか約10分で猿島に到着します。
往復乗船料は季節や時間帯によって変動制となっており、大人1,300〜2,000円程度、別途猿島公園入園料が必要です。最新料金は公式サイトでの確認をおすすめします。
3.地ノ島【大阪から日帰りで行ける無人島】

和歌山県に浮かぶ「地ノ島(じのしま)」は、春には桜が咲き誇りうぐいすの声が響く風光明媚な無人島。
夏には和歌山県内トップクラスとも評される透明度の高い海で海水浴が楽しめます。白砂が広がる約500mのメインビーチは地ノ島の代名詞的存在。
かつて縄文土器や弥生式土器が発掘されたこともある、歴史ある島でもあります。
地ノ島で楽しめるアクティビティ
日帰りで気軽に楽しみたい方には、13時集合・16時解散の「1DAYプラン」がおすすめ。中でも人気の高い3つのプランをご紹介します。
1.「ファミリープチサバイバルプラン」(所要時間3時間)
無人島探検からスタートし、魚釣り、原始的な方法での火起こし体験、そして自分で起こした火で釣った魚やマシュマロを焼く時間まで、サバイバルの醍醐味をコンパクトに味わえる内容です。
インストラクターが同行するため、小さなお子様連れのファミリーでも安心。ディズニーランドとほぼ同じ大きさの無人島を探検する経験は、子どもたちにとってとてもワクワクする思い出になるはずです。
2.「無人島1周SUPプラン」(所要時間3時間)
1〜2人乗りのSUPで1周約3kmの島を周遊し、3時間ほどかけてのんびり進んでいきます。
潮の満ち引きなど、条件がそろっていないと訪れることができない幻の洞窟は、徒歩ではたどり着けない島の反対側にある秘境。幻の洞窟を目指してSUPを漕ぐ体験は、冒険心を刺激される忘れられない体験になるでしょう。
6〜8人乗りの「BIGSUPプラン」も用意されており、家族や仲間との一体感を味わいたい方におすすめです。
3.「いかだ体験プラン」(所要時間3時間)
竹と浮きを使い、世界に1つだけのオリジナルいかだを作り上げ、完成後はエメラルドグリーンの海へ実際に漕ぎ出します。仲間と一緒に息を合わせてオールを漕ぐと、一体感が増して絆がより深まるはず!
作る楽しさと乗る爽快感、両方を味わえる贅沢な体験です。作り方はインストラクターが丁寧に教えてくれるので、安心して体験できます。
いずれのプランもチャーター船代やアクティビティに必要な備品が料金に含まれており、道具を揃える必要がないのも嬉しいポイントです。
地ノ島までのアクセス
関西国際空港から電車で約1時間強、JR初島駅で下車し、徒歩約7分の初島漁港へ。
そこから船で約7分ほどで地ノ島に到着します。漁港には無料駐車場も完備されているため、車でのアクセスも便利です。
4.竹生島【大阪から日帰りで行ける無人島】

滋賀県長浜市、日本最大の湖・琵琶湖の北部に浮かぶのが「竹生島(ちくぶしま)」です。神社や土産物店はあるものの定住者はいないため、無人島として扱われています。古くから信仰の対象とされ、「神がすむ島」ともいわれる竹生島は、島全体がパワースポットとして有名です。
竹生島のメインスポットは宝厳寺と都久夫須麻神社。宝厳寺は「西国三十三所札所巡礼」の第三十番札所として知られています。また、宝厳寺の弁才天は、神奈川県の江島神社、広島県の厳島神社と並んで、日本三大弁天の一つです。
実は竹生島、歴史好きにとってもたまらない島でもあります。戦国時代には浅井長政が竹生島の仏事・神事を庇護し、焼失した宝厳寺の再建に木材を寄進し続けたという逸話が残っているほど。政治的にも宗教的にも重要な聖地として扱われてきた歴史が、今も島全体に息づいています。
竹生島で楽しめるアクティビティ
島の中心となるのが宝厳寺と都久夫須麻神社。宝厳寺は「西国三十三所札所巡礼」の第三十番札所として知られ、安置されている弁才天は、神奈川県の江島神社、広島県の厳島神社と並ぶ日本三大弁天のひとつに数えられています。
最大の見どころは、なんといっても国宝に指定されている「唐門」です。豪華絢爛な桃山様式で知られ、豊臣秀吉を祀る京都・豊国廟の極楽門を移築したものという説が伝わっています。金箔をあしらった彫刻が随所に施された、まさに桃山文化の粋を集めた建造物です。
ほかにも、都久夫須麻神社へと続く重要文化財の舟廊下など、島内には歴史的価値の高い建造物が密集しており、参拝と文化財めぐりの両方をじっくり楽しめます。
竹生島までのアクセス
竹生島へは今津港、または長浜港から出航するクルーズ船で向かいます。
今津港を利用する場合は、まずJR近江今津駅へ。大阪駅からは約2時間の道のりです。駅から今津港までは徒歩約5分、そこから船で約25分ほどで竹生島に到着します。
長浜港を利用する場合は、JR長浜駅が最寄り駅となります。大阪駅から約2時間かけて到着したのち、駅から港までは徒歩約10分、港から船で約30分の行程です。
5.友ヶ島【大阪から日帰りで行ける無人島】

和歌山県と兵庫県・淡路島の間、紀淡海峡に浮かぶ4つの無人島、沖ノ島・地ノ島・虎島・神島の総称が「友ヶ島(ともがしま)」です。瀬戸内海国立公園にも指定されています。
明治時代から第二次世界大戦まで要塞として使用されていた沖ノ島には、当時の砲台跡など多くの遺構が残されており、そのラピュタさながらの光景を目当てに訪れる観光客も少なくありません。
友ヶ島で楽しめるアクティビティ
1.歴史的遺産散策
一番の見どころは、やはり歴史的遺産散策です。島内には砲台跡や弾薬庫跡といった旧日本軍施設の跡が点在しています。
中でも保存状態が良く、当時の姿をほぼそのまま残しているのが「第3砲台跡」。時が止まったかのようなノスタルジックな空間を味わえます。
これら沖ノ島に残る5カ所の砲台は、フランス人技師の設計思想を取り入れた「フランス式」の建築様式で造られており、「友ヶ島砲台群」として土木学会推奨の土木遺産にも認定されています。
2.友ヶ島灯台
砲台群とあわせて訪れたいのが「友ヶ島灯台」です。こちらは幕府がイギリスと結んだ条約により建設が決定した灯台のひとつで、日本の灯台の父と呼ばれる英国人技師リチャード・ヘンリー・ブラントンが設計を手がけました。
明治3年(1870年)に着工し、日本で8番目に完成した石造りの西洋式灯台です。和歌山県では初となる国の登録有形文化財に指定され、経済産業省の近代化産業遺産にも認定されています。
灯台のすぐ横にある広場は、日本標準時子午線(東経135度)が通る場所としても知られており、フランス式の砲台とイギリス式の灯台という、異なる西洋建築様式が同じ島に共存している点も、友ヶ島ならではの見どころといえるでしょう。
3.植物散策・キャンプ
植物散策も友ヶ島ならではの楽しみ方のひとつ。島内には湿地帯植物が群生しており、約400種もの植物が生息しています。特に沖ノ島の深蛇地周辺は植物ファンの間でも人気のスポットです。
キャンプ好きの方にも嬉しいポイントがあります。島内には2カ所のキャンプ場があり、テント設営も可能。夏場には磯遊びを楽しむ家族連れの姿も多く見られます。
なお、キャンプ自体は予約不要・無料で利用できますが、島の入り口にある管理事務所への申請が必要な点は覚えておきましょう。
友ヶ島までのアクセス
友ヶ島へは、和歌山県の加太港から出航する船を利用します。
最寄り駅は南海加太線の加太駅で、大阪駅からは約2時間。駅から港までは徒歩15分、港からは船で約20〜30分の道のりです。
まとめ|日帰りでも本格的な無人島体験はできる
東京・大阪から日帰りで行ける無人島を5つご紹介しました。
歩いて上陸できる沖ノ島、要塞跡が広がる猿島、いかだ作りやSUPも楽しめる地ノ島、国宝の唐門が佇む竹生島、そしてフランス式の砲台とイギリス式の灯台が共存する友ヶ島。同じ「無人島」というくくりでも、それぞれまったく異なる表情を持っていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
大自然の静けさと、島に刻まれた歴史の重み。日帰りという気軽さの中にも、いつもとは違う特別な時間が待っています。まずは近場の無人島から、非日常への第一歩を踏み出してみてください。
もっと無人島を楽しみたい方へ
今回ご紹介した5つの島以外にも、日本全国にはまだまだ魅力的な無人島がたくさんあります。
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