宮城県の海と聞くと、三陸海岸の荒々しい景色を思い浮かべる人が多いかもしれません。一方で、宮城県沿岸には個性豊かな離島が点在し、自然・文化・人の暮らしが絶妙に交わる魅力的なフィールドが広がっています。
中でも、エコツーリズムが一般化する以前から地場の自然環境と共に暮らし、歴史を育んできた離島は是非訪れてみたいもの。
この記事では、無人島や離島に興味を持つ好奇心旺盛な人に向けて、実際に訪問可能で体験価値の高い宮城県の離島5島を厳選しました。静かな自然に身を置きたい人も、文化的な刺激を求める人も、きっと気になる島が見つかるはずです。
宮城の離島1:金華山
View this post on Instagram
金華山の概要
宮城県石巻市の太平洋上に浮かぶ有人島「金華山(きんかざん)」は、島全体が「黄金山神社」の神域となっており、古くから信仰の島として知られています。
恐山、出羽三山と並ぶ「奥州三霊場」にも数えられ、「3年続けてお参りすれば一生お金に困ることはない」という言い伝えや、神の使いとして多数の鹿が生息するなど、多くの参拝客を魅了し続けるストーリーがたくさん詰まっています。
また、島全域が山となっており平地はほとんどありません。最高点は445メートル。神社付近を除く大部分が国有地で、1979年には南三陸金華山国定公園として指定。さらに、2015年には三陸復興国立公園へ編入されたため、手つかずの自然が多く残されている島です。
金華山で楽しめるアクティビティ
花崗岩の白い岩肌や断崖絶壁、特徴的なとがった山頂は遠くからでも認識できるため、ナビゲーションのポイントとしても有名な金華山。宮城のシーカヤックフィールドの中では、最も外洋に近い場所に位置しています。
海岸に降りて海藻を食べるサルや、島の生態系のトップに君臨する鹿など、シーカヤックからなら海の上からじっくり観察できますし、何より海の透明度の高さも魅力的です。
また、釣りのポイントもたくさんあります。スタッフ同行で6時間のクルージングをするレンタルボートでフィッシングを楽しむのもおすすめです。
金華山までのアクセス
石巻市内の港から定期船または観光船でアクセスできます。鮎川港から金華山港まで約25分、または、女川港から約30分で到着可能。
他にも、石巻港から約50分で金華山港へ向かうルートでもアクセスできます。
天候によって欠航する場合があるため、余裕を持った計画が必要です。島内は舗装されていない道も多く、歩きやすい靴が欠かせません。
宮城の離島2:桂島
View this post on Instagram
桂島の概要
日本三景の松島湾に点在する浦戸諸島(うらとしょとう)は大小さまざまな島からなっており、波で侵食された奇岩や松林によるダイナミックな景観が広がっています。
中でも、「桂島(かつらしま)」「野々島(ののしま)」「寒風沢(さぶさわじま)」「朴島(ほうじま)」の島には、歴史と豊かな自然に培われてきた人々の暮しが今もなお息づき、是非訪れてみたい有人島です。
浦戸諸島西部に位置し、本土の塩竈市内から最も近くにあるのが桂島。島の西海岸は断崖が続き、周辺の島々や、遠景には奥羽山脈が望める風光明媚な景観が魅力。また、太平洋を望む南海岸には桂島海水浴場、島の東部には浦戸諸島で最も標高が高い津森山(標高61m)があります。
桂島で楽しめるアクティビティ
浦戸諸島の中でも人気が高い桂島海水浴場は、太平洋の穏やかな波や、開放的で広々とした砂浜、さらに、汽船で訪れることから、リゾート気分が楽しめると評判です。
海水浴場にはトイレやシャワー、海の家など施設設備が充実しており、気軽に海水浴や日光浴のほか、パラセーリング、シーカヤックなどのマリン・スポーツも楽しめます。
浦戸諸島は宮城県立自然公園の中にあり、県の条例により、キャンプや焚き火等の行為は禁止されているので注意が必要です。
桂島までのアクセス
松島海岸から定期船が運航されており、短時間で到着します。
JR仙石線・本塩釜駅下車、徒歩8分。塩竈市営汽船のりば「マリンゲート塩釜」から船で約23分。
船旅そのものが観光の一部となるため、移動も楽しめます。日帰り訪問がしやすい点も魅力です。
宮城の離島3:寒風沢島
View this post on Instagram
寒風沢島の概要
浦戸諸島最大の島「寒風沢島(さぶさわじま)」。現在ではのどかな漁村の風景が広がっていますが、江戸時代に伊達藩の江戸廻米の港として栄えていた歴史があります。
当時の繁栄を今に伝える十二支方角石や縛り地蔵、日本最初の洋式軍艦「開成丸」の記念碑、砲台跡などが、さらに島歩きの楽しみをかきたててくれるでしょう。
この島の主な産業は漁業で、特に牡蠣は全国でも有数の産地。秋になると生牡蠣の水揚げ・出荷が盛んになるため、この時期に島を訪れることができれば、是非とも堪能したい海の幸です。
寒風沢島で楽しめるアクティビティ
浦戸諸島を楽しむアクティビティとして最も人気なのが「島歩き」。汽船や渡船を利用して各島を自分のペースで巡り歩きながら、自然や歴史、島の文化に触れてみましょう。
各島には森林や砂浜、漁港、田園などを巡る変化に富んだハイキングコースが整備されており、絶景ビュースポットもあります。また、島と島の移動には無料の渡し船があり、それに乗船するのもここでしか体験できない楽しみと言えるでしょう。
東日本大震災の際は浦戸諸島も大きな被害を受けました。損壊した漁港や道路などは復旧工事中で、ハイキングコースも一部で通行ができない所があります。
寒風沢島までのアクセス
松島周辺の港から定期船でアクセス可能です。本数は多くないため、事前の時刻確認が欠かせません。
JR仙石線「本塩釜駅」で下車し、徒歩約8分で到着。塩竈市営汽船のりば「マリンゲート塩釜」からは船で約46分となります。島内の移動は徒歩が基本となります。
宮城の離島4:田代島

田代島の概要
宮城県の港町、石巻市の仙台湾(石巻湾)に浮かぶ有人島の1つ田代島(たしろじま)は、「ひょっこりひょうたん島」のモデルと言われている島です。
また、豊漁の神様として猫を大切にしていることから、近年は「ネコの島」として有名。コバルトブルーの海に囲まれ、風光明媚な自然を満喫できる田代島は、「ネコの島」のほか、「マンガの島」としても知られる一面も。
島内で自然繁殖している猫は島民の数を上回るほどですが、他方、犬は猫の天敵とされ、犬を島内に持ち込むことは原則禁止となっています。
田代島で楽しめるアクティビティ
「仮面ライダー」「サイボーグ009」などの作品を生んだ漫画界の巨匠、石ノ森章太郎氏は宮城県出身で、田代島を訪れた際、その美しさに感動し「いつか田代島に住みたい」と夢見ていたそうです。
そんな故人の思いを叶えるべく、漫画家を中心とする「マンガジャパン」の支援のもと、マンガロッジなどを備えたキャンプ施設「マンガアイランド」がオープン。海が一望できる小高い丘の上には、漫画家ちばてつや氏や里中満知子氏デザインによるユニークな「マンガロッジ」が建っています。
また、「センターハウス」ではマンガ創作体験もできるなど、自然の中で心豊かなひとときが過ごせる施設として人気を集めています。漫画ファンならずとも一度は訪れてみたい注目のスポット。田代島ではキャンプの他、釣りやマウンテンバイクのレンタルでサイクリングも楽しめます。
田代島までのアクセス
田代島に向かうには、石巻港から定期船でアクセスします。石巻市の網地島ライン発着所から船で約40分。所要時間はやや長めですが、船旅を含めた非日常体験が楽しめます。
宿泊を伴う場合は、天候による影響も考慮した計画が必要です。
宮城の離島5:宮戸島
View this post on Instagram
宮戸島の概要
宮戸島(みやとじま)は宮城県東松島市にある陸繋島で、松島湾で最大の島。
人口は約1,200人で、日本三景・松島の観光エリアの1つ「奥松島」の主要部です。
島の最高峰である大高森からの眺望は、「松島四大観」の1つと称えられているほか、島の東南に位置する「嵯峨渓」は名岩・奇岩が多数連なる壮観な光景が「日本三大渓」の1つとして数えられています。
宮戸島で楽しめるアクティビティ
このエリアは冬でも温暖で、早春には椿が咲き乱れ、野生の棕梠(シュロ)が繁茂していることから「東北の伊豆」とも呼ばれています。
波静かな内海と、荒々しい海岸美に恵まれ、海水浴やウィンドサーフィン、釣りなど、四季を通じて各種アクティビティが楽しめる景勝地として、宮城県の国際観光テーマ地区として整備されています。
韓国・済州(チェジュ)島発祥のトレッキングスタイル「オルレ」の「奥松島コース」(約10キロ)がオープンし、宮戸島の南半分を周遊するルートの散策が楽しめます。
島の最高峰である大高森(標高106メートル)山頂からは、仙台湾やその内湾である松島湾と石巻湾、牡鹿半島、蔵王連峰、栗駒山までも展望できる、松島四大観など見ごたえたっぷり。
View this post on Instagram
風光明媚な奥松島コース
宮戸島までのアクセス
島には公共交通機関はありません。
JR仙石線・野蒜駅からのタクシーで約12分、または、海路として松島港から観光船、あるいはプレジャーボートでアクセス可能。
宮城県の無人島も魅力的
宮城県の離島は、単なる無人島体験にとどまらず、信仰・暮らし・アートといった要素が重なり合っています。完全な静寂を求める人にも、文化的な刺激を楽しみたい人にも対応できる多様性が魅力です。
宮城には残念ながら一般人が気軽に行ける無人島はほとんどありませんが、「3年続けて参拝するとお金に不自由しない」というありがたい島や、野良猫が気ままに暮らし、マンガの世界に浸れる島、無料の渡し船で島めぐりができたり、韓国スタイルのトレッキングが体験できる島など、他の地域にはない個性あふれる島々がたくさんありますね。
無人島や離島に興味があるなら、宮城の島々は確かな選択肢となるでしょう。どの島でもゆったりとした島時間が堪能できるほか、宮城の地形だからこそ生まれた島々の自然の造形美に感動すること間違いなし!自分なりの島体験を満喫してください。



