日本では水汲みに2時間かかるような生活をしている人はまずいないだろう。
ガスコンロのつまみを回せばすぐに火がつき、調理が開始できる。
無人島では薪を集め、火を起こし、火が安定するまで30分はかかる。
木を切る時に、ノコギリがあれば1分もかからずに切れるのに、
木を燃やし短くしたり、地道に石斧で削るしかない。
「ずっと無人島にいて退屈ではないか?」とよく聞かれるが、
全くそんなことはない。
物資がないことで都会生活の何倍も時間がかかってしまうから、
生きるだけで大忙しである。
しかし、日本人の日常は物に溢れ、生活に苦労することは少なくなった。
余暇が増え、仕事以外の時間は、友達と出かけたり、趣味に使える。
波打ち際にはたくさんのゴミが流れ着いている。
まな板、ウエットティッシュの容器、発泡スチロール、一斗缶etc・・・
普段ならただのゴミだが、全て活用のしがいがある。
落ちているゴミ見ていると、それらを生み出した工場や、
製品が流通するまでに関わった人が思い浮んでくる。
我々が余暇を楽しむことができるのも
誰かが自分の時間を削って価値を生み出してくれているおかげ。
そして、それらの価値をお金という形で交換し合うことで生活が便利になり、
たくさんの自由に使える時間が捻出できている。
そのかけがえのない時間をどうやって過ごしているだろうか?
どう過ごしてもいい。
ただその時間は誰かのおかげで得られた時間であることも忘れてはいけない。
物に溢れ、それらが当たり前になった日常の中で、
意識することは中々ないが、関わる人を想い浮かべることで、
感謝の念が心の底から湧き上がってくる。
海を眺めながら、感謝の念に浸る時間は
私にとって、とても心地よいものだった。
日常の中で、友達や家族、普段関わる人だけでなく、
会ったことのない人の存在を感じ、
「ありがとう」
と感謝する時間が増えたらいいなと思う。