「おんせん県」として知られる大分県ですが、実は個性豊かな離島を多く持つ「島の県」でもあります。瀬戸内海に浮かぶ伝説の島から豊後水道の秘境、猫と島民がひっそり暮らす最果ての島まで、その顔ぶれは実に多彩です。温泉だけじゃない、大分の島旅の魅力を余すところなくお伝えします。
本記事では、大分の離島・無人島を5つ厳選してご紹介します。アクセス方法からアクティビティまで詳しくまとめているので、旅の計画にぜひ役立ててください。
大分の離島・無人島1:姫島(ひめしま)
島の概要
「姫島(ひめしま)」は、大分県国東半島の北約5kmの周防灘に浮かぶ、大分県唯一の「一島一村」の離島です。全域が瀬戸内海国立公園に指定されている豊かな自然が魅力の島です。
そんな姫島の特徴はジオパークがあること。ジオパークとは、「地球・大地(ジオ:Geo)」と「公園(パーク:Park)」を組み合わせた言葉で、地球活動の遺産を見どころとする自然の中の公園を指します。そういった背景もあり環境に優しいエコアイランドを目指している姫島では、二酸化炭素の排出量がゼロの超小型モビリティやレンタサイクルでの移動がおすすめです。
この島の歴史は非常に古く、『古事記』や『日本書紀』にも「女島(ひめしま)」として登場。約30万年前の火山活動によって形成された地質学的価値の高い島で、随所で火山地形を観察できます。
楽しめるアクティビティ
姫島でのアクティビティで欠かせないのは、なんといっても「姫島七不思議めぐり」 。島内各所に点在する七不思議のスポットを自転車で巡るのが定番の楽しみ方です。「拍子水」では炭酸水素塩冷鉱泉の温泉を楽しめるほか、「浮洲」「千人堂」「逆柳」など、島の伝説にまつわるスポットをめぐるだけで一日が充実します。
島の特産品として名高い「姫島車えび」も必食グルメ。毎年10月下旬には「姫島車えび祭り」も開催され、新鮮な車えびを使った料理を堪能できます。また、5月上旬〜6月上旬と10月中旬の年2回、渡り蝶「アサギマダラ」が休息のために島に飛来するため、蝶の観察スポットとしても知られています。
また、 毎年8月14・15日に開催される「姫島盆踊り」は夏の大分を代表するイベントのひとつ。約40種類の踊りで構成されており、きつね踊りやアヤ踊りなど個性豊かな演目が続きます。この時期はフェリーの夜間臨時便も運航されるほどの賑わいなので、ぜひタイミングを合わせて参加してみてください。
島までのアクセス
姫島へは、国東市の伊美港から姫島村営フェリーで約20分でアクセスできます。フェリーは1日往復12便(12〜3月は11便)と本数が多く、日帰りでも十分楽しめます。
伊美港へのアクセスは、大分空港から車で約45分。大分空港からバスを利用する場合は、国東バスターミナルを経由して約70分です。伊美港には無料駐車場があるため、マイカーでの訪問が便利です。
大分の離島・無人島2:黒島(くろしま)
島の概要
「黒島(くろしま)」は、大分県臼杵市の臼杵湾内に浮かぶ、周囲約3kmの小さな有人島です。佐志生海岸からわずか約300mという距離に位置しており、渡船でほんの3〜5分で渡れるアクセスの良さが魅力。日豊海岸国定公園にも指定されており、透明度の高い海と深い緑の木々に覆われ南国ムードが漂っています。
黒島が歴史の表舞台に登場したのは、慶長5年(1600年)のこと。オランダの商船「リーフデ号」が嵐により黒島に漂着したのです。この船に乗っていた乗組員のウィリアム・アダムス(後に三浦按針として知られるイギリス人航海士)とヤン・ヨーステン(耶揚子)は、のちに徳川家康の外交顧問となった人物。島にはこの史実を記念した上陸記念碑やウィリアム・アダムスの銅像が建てられており、日欧交流の歴史が刻まれた場所として知られています。
現在は海水浴場やキャンプ場が整備された観光の島として親しまれており、夏を中心に多くの海水浴客が訪れます。島内には旅館「黒島荘」もあるため、宿泊を伴うゆったりした滞在も可能です。
楽しめるアクティビティ
黒島最大の魅力が、臼杵湾の透明な海での海水浴です。黒島の海水浴場は環境省による「海水浴場百選」に選定されているほか、大分県の水質調査でもAAランクの海水を誇ります。ここでは、6月上旬から8月末までの間、海水浴やキャンプなどが楽しめます。
島内にはキャンプ場が整備されており、バンガローとテントサイトの両方を使ってキャンプ・バーベキューを楽しめます。海辺でのキャンプは夏の定番アクティビティで、夜は満天の星空と波の音が格別の雰囲気を演出してくれるでしょう。
また、黒島へ行くなら歴史スポット巡りは欠かせません。ウィリアム・アダムスの上陸記念碑や銅像、ヤン・ヨーステンの銅像など、日本と西洋の歴史が交差した舞台を歩いて巡れます。歴史好きには特に興味深い場所で、記念館で資料を見ながら当時に思いを馳せましょう。
島までのアクセス
黒島へは、佐志生港(佐志生尾本)から渡船で約3〜5分。佐志生港へはJR日豊本線「佐志生駅」から徒歩約20分です。
車の場合は大分市内から国道217号線を南下して約40分で佐志生エリアに到着します。渡船の運航スケジュールは事前確認が必要なので、臼杵市観光情報協会へお問い合わせください。
大分の離島・無人島3:保戸島(ほとじま)
島の概要
大分県津久見市の津久見港から約14kmの豊後水道に浮かぶ周囲約4kmの有人島、「保戸島(ほとじま)」。明治中期に始まった「遠洋まぐろ漁業」の伝統を誇り、全盛期には150隻以上の漁船がハワイなどの南洋へ出漁するほどの規模を誇りました。近年は「猫の島」としても注目を集め、猫好きの旅人が全国から訪れます。
そんな保戸島の名物と言えば「ひゅうが丼」。厳しい環境での肉体労働が必要とされる船上で考案された料理で、特製ダレに漬け込んだマグロの赤身を温かいご飯に乗せて豪快にかきこむスタイル。素早く食べられ栄養満点の漁師料理です。
この島を一躍有名にしているのが、その独特の景観。島内は平地がほとんどなく、海岸から山への急斜面に3〜4階建てのコンクリート造の建物がひしめくように並んでいます。その風景は地中海の漁港を彷彿とさせるとして、「日本の地中海」「日本のナポリ」とも称されています。この漁村景観の歴史・文化的価値は高く評価されており、「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財百選」にも選定されています。
楽しめるアクティビティ
保戸島最大の魅力は「路地裏散策・迷路探検」です。集落を縫う路地と階段は文字通りの迷路で、探るように歩けば気分はまるで探検家。特に見どころなのが全長256m・幅1.2mという「日本一狭い県道」として知られる県道612号で、両手を広げたら届きそうな幅の民家と民家のすき間を通る道ですが、れっきとした公道です。
地中海ビューの撮影・絶景鑑賞もおすすめ。急斜面に建物が連なる異国情緒あふれる景観は圧巻で、写真好きにとっては宝の山のようなロケーションです。島内のさまざまな高台から眺める集落の風景は、日本とは思えない非日常感があります。
また、保戸島の周辺は保護水面地域のため国による漁獲制限が設けられ、海洋資源が守られている国内屈指の漁場となっています。大物もたくさん釣れることから、釣りファン憧れの地でもあります。海上釣り堀では幻の石鯛かかり釣りを楽しめるほか、岩場にいる魚だけでなく天然の回遊魚も釣ることが可能。さらに、1mを超えるスズキや真鯛、クエなどの大型魚も潜んでいます。
島までのアクセス
保戸島へは、津久見港から1日数便が運航されている定期船に乗って約25〜30分でアクセスできます。津久見港へのアクセスは、JR日豊本線「津久見駅」から徒歩約7分です。
大分市内から向かう場合、津久見港まで特急列車で約40分。定期船の本数は限られているため、時刻表を事前に確認し余裕を持ったスケジュールで訪れましょう。
大分の離島・無人島4:大入島(おおにゅうじま)
島の概要
「大入島(おおにゅうじま)」は、大分県佐伯市の市街地から北北東わずか約700mに位置するひょうたん形の離島です。佐伯湾の入口にあり、島の一部は日豊海岸国定公園に指定されています。島全体の面積は約6.8km²、最高点の遠見山は標高194mで、海と山の両方の自然を存分に楽しめる島です。
また、大入島はオーストラリア・グラッドストン市と友好があり、その証としてオープンした広場には、グラッドストン市の彫刻家によるブロンズ像、「寝そべるカンガルー像」や、アボリジニーアートが描かれたトーテムポール、オーストラリアの木々などがあります。ほのぼのとした離島にある意外な光景が目を楽しませてくれるでしょう。
大入島の名産品は柑橘類で、甘夏やポンカンを中心とした果樹栽培が盛ん。島内の農道を歩けば、あちこちにみかん畑が広がる穏やかな農村の風景と出会えます。「里の駅 大入島食彩館」に立ち寄れば、佐伯の郷土料理「ごまだしうどん」や地のものを使った日替わり定食、ポンカンソフトクリームなども味わえます。また、夏には島周辺の海で採れる新鮮な岩ガキも人気です。
楽しめるアクティビティ
大入島で最もホットなアクティビティは、「九州オルレさいき・大入島コース」のトレッキング。「オルレ」とは韓国・済州島発祥の言葉で、海岸や山などの自然を五感で感じながら、自分のペースでゆっくり楽しめる人気トレッキングコースのことです。
大入島コースは九州オルレの中でも特に珍しい離島のコースとなっており、リアス式海岸の美しい海岸線を歩き、四国まで眺望できる遠見山展望所など見どころがいっぱいです。昔、島の子どもたちが分校から本校まで歩いた山道を整備したルートも含まれており、歴史と自然の両方を感じながら歩けます。
さらに、大入島で体験したいのが「タンデム」という、サドルとペダルが前後に並んだ2人乗りの自転車。この島ではタンデム自転車の公道走行が認められているうえ、車の交通量も少なく、サイクリングをしながら大入島の絶景が楽しめます。
大入島の周囲は約17kmの平たんな道が続き、1時間半~2時間ほどで島を1周できるでしょう。「午前中はオルレ、午後はサイクリング」を楽しめば島を十分満喫できておすすめです。
島までのアクセス
大入島へは、佐伯港から定期船(マリンバス常栄丸または大入島観光フェリー)を利用します。マリンバス常栄丸は1日10便・所要約15分(守後・久保浦・堀切・片神経由)、大入島観光フェリーは1日13便・所要約10分(石間港へ)で運航されており、定期便の多さが魅力です。
佐伯港へはJR日豊本線「佐伯駅」から徒歩約10分。車の場合は東九州自動車道・佐伯ICから約15分で佐伯港へ到着します。
大分の離島・無人島5:深島(ふかしま)
島の概要
「深島(ふかしま)」は、大分県佐伯市の蒲江地区から約9km南に浮かぶ、大分県最南端の離島です。面積1.1km²・周囲4kmというひょうたん型の小さな島で、島全体が日豊海岸国定公園に指定されています。宮崎県との県境に近い場所に位置し、「大分の秘境」という言葉がぴったりの離島です。
島民約20名未満に対して猫は約60〜70匹という、人口をはるかに上回る数の猫が島のあちこちでのんびりと暮らしているため、通称「猫島」とも呼ばれます。すべての猫に名前があり、写真集も2冊発行されるほどの人気。島民と猫と訪問者が共存するこの小さなコミュニティを守るため「でぃーぷまりん深島」をはじめとした島の情報を発信する取り組みも続けられています。
九州本土から近くにありながらも豊かな自然を誇っており、島全域が日豊海岸国定公園に指定されています。カラスバト、ムラサキオカヤドカリといった国指定の天然記念物や、アオノクマタケランなどの珍しい植物も群生しています。
楽しめるアクティビティ
深島の旅のメインイベントはやはり猫との出会いです。港に降り立った瞬間から猫たちがお出迎え。「にゃんにゃんロード」と呼ばれる猫スポットをはじめ、路地や海岸など島のあらゆる場所で個性豊かな猫に出会えます。猫に近づく際は、島民の方への配慮を忘れずに。猫への無断のえさやりや、私有地への立ち入りなどはNGです。
全域が国定公園に指定された深島の海は、透明度が非常に高く、サンゴや熱帯魚が生息する豊かな海中世界が広がっています。シュノーケリング道具を持参して手つかずの海中を探索するのは、深島ならではの体験です。
島内散策・秘境体験として、ひょうたん型の島内をのんびりと歩いて巡れます。集落のある港エリアと、自然が色濃く残る島南部のコントラストが印象的。コンビニも自動販売機もない環境の中で、ゆっくりとした「本物の島時間」を体感できます。
また、深島は磯釣りのポイントとして有名で、豊後水道と日向灘が出会うこのエリアは魚影の濃さで知られる好漁場。クロ(グレ、メジナ)や青物、イサキなどが釣れ、一年を通して釣りが楽しめます。深島の港からもクロやアカハタ、ホゴなどが釣れるなど、磯釣りや船釣りで多彩な魚を狙えるでしょう。
島までのアクセス
深島へは、佐伯市蒲江港から佐伯市営定期船「えばあぐりいん」に乗船し、屋形島を経由して約25〜30分でアクセスできます。1日3便(スクール便を除く)と本数が少ないため、時刻表を必ず事前に確認してください。夏季(7月中旬〜8月下旬)の土日祝には増便が運航されることがあります。
蒲江港へは、東九州自動車道・蒲江ICから車で約5〜10分。大分市内から車で約1時間30分です。JR佐伯駅からは大分バスで蒲江バス停まで約1時間20分。定期船の本数が少なく、欠航のリスク(波が高い日は運休)もあるため、宿泊前提の余裕ある旅程が安心です。
島内には宿泊施設があるため、1泊してじっくり猫と島時間を満喫することをおすすめします。
大分の離島は「個性」と「アクセスのしやすさ」が魅力
今回紹介した大分の5島を振り返ると、神話・歴史・文化の厚みなど個性が強い島が多いことがわかります。姫島は『古事記』にも登場する伝説の島。黒島は日欧の歴史が交差したリーフデ号漂着の地。保戸島は明治から続く遠洋マグロ漁業の拠点——どの島にも、単なる「自然」以上の歴史的・文化的重みがあります。教科書では味わえない歴史のリアルを島を歩くだけで感じられるのが、大分の離島の醍醐味です。
黒島は渡船で約3〜5分、大入島は約10〜15分と、大分の離島は本土からのアクセスしやすく日帰りできる島が多いのも特徴。観光地としての整備も進んでいるため、思い立ったら行動に移しやすい環境が整っています。
「温泉に行くついでに島へ渡る」というのも、大分らしい旅のスタイル。由布院や別府などの温泉地と組み合わせることで、より充実した大分の旅が完成します。大分の離島は、あなたの期待をきっと超えてくれるはずです。
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